タングラムのはなし

7枚の板で作れる「かどのない」多角形は、たった13種類。中国から貿易船で西洋へ渡った道のりと、「4000年前の神様」の作り話。

遊んでみる
タングラム

タングラム(七巧板)は、正方形を7枚に切り分けた板を、重ならないようにすきまなく並べて、いろいろな形を作るパズルです。 7枚は、大きな三角形が2枚、中くらいの三角形が1枚、小さな三角形が2枚、正方形が1枚、平行四辺形が1枚です。 7枚を全部使って、人、動物、家、船など、いくらでも形を作れます。

7枚の面積

元の正方形の面積を16とすると、7枚の面積は、大きな三角形が4と4、中くらいの三角形が2、小さな三角形が1と1、正方形が2、平行四辺形が2です。合わせてちょうど16になります。 このサイトのプログラムでも、この面積と、お題の影の面積が全部16になることを確かめています。 どの形を作っても面積が同じなのは、7枚を全部使うからです。だから、見た目が大きく違う形でも、できあがりの広さは同じです。

へこみのない形は、13種類だけ

7枚をすべて使って作れる「凸多角形」は、同じ形を1つと数えると、ちょうど13種類です。 凸多角形とは、へこんだ部分がなく、どの角も外側にふくらんでいる多角形のことです。内訳は、三角形が1種類、四角形が6種類、五角形が2種類、六角形が4種類です。 三角形はたったの1つ、そして正方形も13種類のうちの1つです。

これは1942年に、2人の中国の数学者、ワンとシュンが論文で示したことです。なお、この13種類の定理は、このサイトのプログラムでは確かめていません。数学の論文で証明された結果を紹介しています。

中国で生まれ、貿易船で西へ

七巧板は中国で生まれたとされますが、いつ、誰が考えたのかは分かっていません。昔の中国の机の遊び「燕几図」がヒントになったという説もありますが、あくまで説です。 今残っている古い中国の本には、1813年の『七巧図合璧』や、1858年の『七巧八分図』があります。18世紀の終わりから19世紀の初めごろには、すでに遊ばれていたようです。 中国語の名前「七巧板」は、「7つの巧みな板」という意味です。

19世紀のはじめ、中国と貿易をしていた船が、七巧板をヨーロッパやアメリカに運びました。1815年にアメリカの船長が、広東から1813年の本を持ち帰ったという記録があります。 1817年にはイギリスで、西洋で最初の七巧板の本が出ました。それからイギリスを中心に、フランス、デンマーク、イタリア、アメリカへと広まり、1810年代から1820年ごろにかけて大きなブームになりました。 細かい年は資料によって少しずつ違います。

英語の名前「タングラム」は、1848年のアメリカの本が確認できる最も古い例で、言葉の由来は分かっていません。

「4000年前の神様」は作り話

アメリカのパズル作家サム・ロイドは、1900年代のはじめに『タンの8番目の本』という本を出しました。700種類もの図が入った本ですが、そこには「タンという神様が4000年前に作った」という歴史が書かれています。 これは作り話でした。1910年、『オックスフォード英語大辞典』の編集者ジェームズ・マレーが、パズル作家のドゥードニーへ手紙を書き、中国の学者たちが「タンも、タンの書も、中国の資料には見当たらない」と言っていると知らせました。 つまり、「4000年前」や「タン」の話は信じてはいけない、ということです。

日本にもあった似たパズル

日本では1742年に『清少納言智恵の板』という本が出ています。7枚の板でシルエットを作るパズルですが、板の切り方は七巧板とは違います。タングラムの親や日本版ではなく、別の工夫として生まれたものです。 序文には清少納言の名前が出ますが、事実とは考えられておらず、考えた人は分かっていません。

解くときの考え方

  • 大きな三角形から置く。いちばん大きな2枚は置き場所が少ないので、先に決めると残りが見えてきます。
  • 斜めの辺と角に注目する。斜めの辺は、三角形や平行四辺形の出番です。影のとがった角と同じ角を持つ板を探します。
  • 平行四辺形は裏返せる。ほかの板は裏返しても形が変わりませんが、平行四辺形だけは裏返すと向きが変わります。あと一歩のときは試してみます。
  • ちがう切り方も正解。このサイトは影をいっぱいに埋めれば完成にしています。作り手が考えた切り方と別の並べ方も、正解です。

行き詰まったら、作品ページの「ヒント」を押してみてください。1枚ずつ、置き場所の一例を点線で見せます。

出典・参考

更新: 2026-10-17