塗る・置く論理パズルのはなし
数字の手がかりからマスの正体を決めていくパズルたち。やさしい顔をしていて、大きくなると「NP完全」という手ごわい問題になります。
ノノグラム、電球配置、地雷さがし・論理版。マスを塗る、電球を置く、地雷の場所を決める、とやることは違いますが、 どれも数字の手がかりから「このマスは何か」を一つずつ決めていくパズルです。しかも、運には頼りません。
ノノグラム(このサイトの「ノノグラム」)
行と列の数字は、そこで続けて塗るマスの数です。「1 3」なら、1マスのかたまり、1マス以上あけて、3マスのかたまり、という意味です。 すべて塗り終わると、絵が現れます。
1987年ごろ、日本でこのパズルが生まれたとされています。グラフィックの仕事をしていた石田のんさんと、パズル作家の西尾徹也さんが、それぞれ別々に似たパズルを考えていました。 どちらが先かは言い切れませんが、同じ時期に二人が別々に思いついたというのが面白いところです。 「ノノグラム」という名前は、イギリスの収集家が石田さんの名前の「ノン」と「ダイアグラム(図)」を合わせてつけた、と伝えられています。 ほかにも、出版社やゲームごとにいろいろな呼び名があります。
行だけを見ても決まらないとき、列の情報を重ねると、「このマスは必ず塗る」「ここは必ず空き」というマスが見つかります。このサイトの絵は、どれも解がひとつだけで、行と列の情報だけで最後まで解けます。
電球配置(このサイトの「電球配置」)
白いマスに電球を置いて、すべての白いマスを照らします。光は縦と横に進み、壁で止まります。電球どうしが照らし合ってはいけません。壁の数字は、その壁の上下左右にある電球の数です。
このパズルは、2001年ごろ、パズル雑誌の読者が考えたものだとされています。プロの作家ではなく、ふつうの読者の発想から生まれたパズルです。 ヒントでは、「このマスを照らせる場所はどこか」と逆から考える方法も出てきます。
地雷さがし・論理版(このサイトの「地雷さがし・論理版」)
数字は、まわりの8マスにある地雷の数です。数字と同じ数だけ旗が立っていれば、残りのとなりのマスは安全です。残りの地雷の数と、まだ分からないマスの数が同じなら、そのすべてが地雷です。 このサイトの問題は、最初から安全な場所が開いていて、推測しなくても最後まで解けるものだけを出しています。
やさしい顔の「NP完全」
この3つのパズルには、数学者が調べた共通点があります。大きな盤で「そもそも解があるか」を調べる問題が、「NP完全」というタイプの問題だと考えられていることです。
- ノノグラムは、一般の盤に解があるかの判定がNP完全だとされています。
- 電球配置も、2005年にマクフェイルがNP完全だと示した、とされています。
- 地雷さがしは、リチャード・ケイが2000年に示しました。ただし示されたのは、ゲームそのものではなく、「数字だけが並んだ盤を見て、それと矛盾しない地雷の置き方があるか」を決める問題です。運に頼る本物のゲームとは別の問題です。
「NP完全」を、やさしい言葉で言うと「盤が大きくなると、どんな盤にも速く解ける万能のやり方は、たぶん見つからない」という意味です。 ただし「解けない」という意味ではありません。このサイトの盤は小さいので、手がかりをたどれば、ちゃんと自分で解けます。難しさは、大きさとともに増えていきます。
サイトの「地雷さがし・論理版」は、推測のいらない盤だけを出しています。これは「ケイの問題」の裏側のような話で、 数字から確実に言えることだけで進めば、運を使わずに答えにたどりつけます。
解くときの考え方
- 確実なところから決める。どれも、まず「ここは絶対にこうなる」というマスを探します。
- 二つの情報を重ねる。ノノグラムなら行と列、電球配置なら光の通り道と壁の数字、地雷さがしなら隣り合う数字どうしです。
- あやしいときは逆から考える。「このマスを照らせる電球はどこ?」のように、問いをひっくり返してみます。
どの作品も、ヒントは考え方から順に出ます。まずは考え方だけ見て、残りは自分で考えてみてください。
出典・参考
- Wikipedia — Nonogram
- Atlas Obscura — 電球配置の元になったパズルの項目(読者の投稿から生まれたという記述 / says it came from a reader’s submission)
- Brandon McPhail, “Light Up is NP-complete” (2005)(Wikipedia の当該パズルの項目が挙げる論文 / as cited by Wikipedia)
- R. Kaye, “Minesweeper is NP-complete”, The Mathematical Intelligencer 22(2), 9–15 (2000)
- Richard Kaye — ページ / author’s own page
- Cogniq Fun — src/lib/games/nonogram/engine.test.ts, bulb-placement/engine.test.ts, mine-logic/engine.test.ts(全問が解ひとつだけで、推測なしに解けること / each puzzle has one solution and is solvable without guessing)
更新: 2026-10-17