拍と音のしくみ
拍子、音符の長さ、和音の3つの音、3対2のリズム、そして音程とテンポ。音楽を支える約束ごとを、数で見てみます。
遊んでみる拍子と手拍子
音楽は、耳で楽しむものですが、その下には数の約束ごとがあります。拍の数え方、音の長さ、音の重ね方。このページでは、このサイトの8つの作品(拍子タップ、音符のパズル、和音の聞き分け、ふたつのリズム、リズムのまねっこ、音の記憶、音程の階段、テンポあて)の裏にある考え方を紹介します。
拍子:強い拍と弱い拍
楽譜の最初にある「4/4」や「3/4」のような数字が拍子記号です。上の数字は1小節にいくつ拍があるか、下の数字は基準にする音符(4なら四分音符、8なら八分音符)を表します。 拍はどれも同じ強さではなく、小節の頭がいちばん強く、そのほかは弱い、というのが基本です。3/4 なら「強・弱・弱」、4/4 なら「強・弱・やや強・弱」のように感じます。
上の数字が2・3・4 のときは、1拍が2つに割れる「単純拍子」です。6・9・12 のときは、1拍が3つに割れる「複合拍子」です。たとえば 6/8 は、八分音符が6つ並びますが、3つずつ2つのかたまりに分かれ、ふつうは「2拍子」として感じます。 ただし、6/8 を3拍子の仲間として感じる説明もあり、分類は教科書によって少し違います。
このサイトのプログラムで、2・3・4・6・5 の5つの拍子それぞれで、強いアクセントが各小節の頭にだけ付くこと、6拍子だけは4つ目に副アクセント(3つずつのかたまりの2つ目の頭)があることを確かめました。
音符の長さは「半分ずつ」
全音符を基準に、二分音符はその半分、四分音符はさらに半分、八分音符、十六分音符と、順に半分になっていきます。休符(音を出さない時間)も同じ体系で数えます。
音符の右に点を付けると「付点」になり、元の長さの半分が足されます。付点四分音符は、四分音符に八分音符を足した長さで、元の1.5倍です。 いちばん短い十六分音符を「1」とすると、全音符は16、二分音符は8、四分音符は4、八分音符は2、付点四分音符は6、というふうに、すべて整数の足し算で数えられます。 このサイトのプログラムで、この数え方(全音符16から十六分音符1まで、付点の12・6・3、休符の4と2)と、「音符のパズル」の5つの問題がすべて小節ぴったりに埋められることを確かめました。
三和音:3つの音の重ね方
和音の中でも基本になるのが、3つの音を重ねた「三和音」です。音の間隔は「半音いくつ分か」で数えます。根っこの音を0とすると、次の4種類があります。
- 長三和音(明るい響き):0・4・7
- 短三和音(落ち着いた、暗めの響き):0・3・7
- 増三和音(ふわっと浮いた響き):0・4・8
- 減三和音(張りつめた響き):0・3・6
このサイトのプログラムで、この4種類の組み立てを確かめ、どの根音でも鍵盤の範囲に収まることも確かめました。
きれいな比と、ほんの少しのずれ
長三和音の3つの音の周波数(1秒間の振動の数)を、もっとも単純な整数の比で表すと 4:5:6 になります。これが「純正律」の長三和音で、よく溶け合うといわれます。
ところが、いまのピアノなどが使う「十二平均律」は、1オクターブ(周波数が2倍)を、同じ比で12に分けます。半音ひとつぶんの比は、2の12乗根(2^(1/12))、約1.0595倍です。 この分け方だと、どの調に移っても同じ響きになる便利さがあります。そのかわり、4:5:6 とは少しだけずれます。長3度の音は純正の比より約14セント(半音の約7分の1)高く、5度は約2セント低くなります。 4を基準にそろえて見ると、平均律の長三和音は 4:5.04:5.993 です。このサイトのプログラムで、この値を確かめました。
どちらが正しい、という話ではありません。純正律は和音が澄んで響き、平均律は自由に転調できる、という違いです。
もう一つ、音の高さの基準があります。五線の中にあるラの音を 440 ヘルツ(1秒に440回振動)にする、という国際規格 ISO 16 が1975年にでき、2022年に見直されて確認されています。ただし、これは規格上の約束で、すべての演奏がこの高さとは限りません。
ふたつのリズムを同時に
「3対2」とは、同じ時間のなかに、片方は3つ、もう片方は2つの拍を等間隔に並べる重ね方です。3つの拍が、2つ分の長さを占めるこの関係は「ヘミオラ」と呼ばれ、繰り返し重ねたものは「ポリリズム」や「クロスリズム」と呼ばれます。言葉の使い分けは学者によって違うので、ここでは「3対2はその代表的な例」としておきます。
3対2は、3と2の最小公倍数の6つに細かく分けた格子の上に並べると、ぴたりとそろいます。4対3なら12分割です。2つのリズムが同時に鳴るのは、周期の頭だけで、途中ではずれたままです。 このサイトのプログラムで、3対2は6分割、4対3は12分割になること、同時に鳴るのは周期の頭だけであることを確かめました。
リズムのまねっこ:間の取り方をまねる
聞いたリズムをそのまま叩き返す遊びです。ここで大事なのは、叩く時刻そのものではなく、音と音の「間」です。始めるのが少し遅れても、間が同じならまねできたことになります。 このサイトのプログラムで、最初の音からの間隔を比べ、ずれが0.16秒(160ミリ秒)までなら合格にすること、音の数が足りなくても多すぎても不合格にすることを確かめました。 リズムは4段階あり、等間隔の形から、八分音符、付点のついた間、2小節にわたる裏拍(拍のあいだに入る音)の形までを含みます。
音の記憶:1つずつ増える並び
4つのパッドが順に光って音を鳴らします。同じ順に押せたら、並びが1つ長くなります。 このサイトのプログラムで、並びは長くなっても、それまでの音がそのまま残ること(前の部分は変わらず、最後に1つだけ足される)、どの音も4つのパッドのどれかであること、答えを押している途中は先頭から順に合っているかを調べ、同じパッドが続いてもまちがえないことを確かめました。
音程の階段:2つの音の距離
2つの音の高さの差を「音程」といいます。ドからレは2度、ミは3度、というふうに、上の音まで数えて何番目かを使います。ドレミの音階の中では、ドから数えて2度から8度までが、半音いくつ分かで 2・4・5・7・9・11・12 になります。 8度は、ちょうど1オクターブ(周波数が2倍)です。半音ひとつぶんの周波数の比は2の12乗根(約1.0595倍)で、12回かけると2になります。 このサイトのプログラムで、上がる音程も下がる音程も、2度から8度までの出題が半音の数と合っていること、周波数の比が12半音でちょうど2倍(下がるなら半分)になることを確かめました。
テンポあて:1分間の拍の数
テンポは、1分間に何拍かで表し、BPM(ビーピーエム)と呼びます。拍と拍の間が0.5秒なら、1分間に120拍なので、120 BPM です。 このサイトでは、叩いた間隔の平均からBPMを出し、間隔のばらつきをミリ秒で示します。プログラムで、0.5秒間隔の4回が120 BPM でばらつき0になること、0.4秒と0.6秒が交ざった間隔はばらつき100ミリ秒になることを確かめました。 叩く回数が足りないとき、時刻が戻っているとき、数でない値が混ざるときは、結果を出しません。お手本は8拍で、目標の5パーセント以内なら合格です(120 BPM なら126までが合格、127は不合格)。
ちがいを見る
- 拍子:拍の数が同じでも、強弱の付き方で感じ方が変わります。
- 音符:見た目の形は違っても、足し算で並べれば、小節の長さは変わりません。
- まねる・覚える:リズムは「間」を、メロディは「順番」をまねします。
- 和音:「きれいな整数の比」と「どこでも使える平均律」は、少しだけ違います。
拍子タップで強い拍を探し、音符のパズルで小節を埋め、和音の聞き分けで耳を試し、ふたつのリズムでずれと重なりを聴いてみましょう。
出典・参考
- University of Wisconsin Oshkosh — Meters
- Open Music Theory (Mount) — Compound Meters
- musictheory.net — Lesson 15
- Wikipedia — Triad (music)
- Wikipedia — List of intervals in 5-limit just intonation
- Wikipedia — Major chord
- ISO 16:1975 — Acoustics, Standard tuning frequency
- Wikipedia — Hemiola
- Cogniq Fun — このサイトのプログラムで確認 / Checked by this site’s program(アクセントは小節の頭だけ、6拍子の副アクセント / accent only on bar starts, the secondary accent in 6)
- Cogniq Fun — このサイトのプログラムで確認 / Checked by this site’s program(16分音符を1とした音符・付点・休符の長さ / note, dotted and rest lengths in sixteenth-note units)
- Cogniq Fun — このサイトのプログラムで確認 / Checked by this site’s program(4種類の三和音、平均律の周波数と 4:5:6 とのずれ / the four triads, equal-temperament frequencies and their gap from 4:5:6)
- Cogniq Fun — このサイトのプログラムで確認 / Checked by this site’s program(間隔で比べ許容160ミリ秒、音の数が違えば不合格 / compares spacing within 160 ms, wrong note count fails)
- Cogniq Fun — このサイトのプログラムで確認 / Checked by this site’s program(並びは1つずつ増え前の部分は変わらない / the sequence grows by one and keeps earlier notes)
- Cogniq Fun — このサイトのプログラムで確認 / Checked by this site’s program(2度〜8度は半音2・4・5・7・9・11・12、12半音で周波数比2 / seconds to octave in 2, 4, 5, 7, 9, 11, 12 semitones, ratio 2 over 12)
- Cogniq Fun — このサイトのプログラムで確認 / Checked by this site’s program(平均間隔からBPM、ばらつき、5パーセント以内で合格 / BPM from mean gap, jitter, 5 percent tolerance)
- Cogniq Fun — このサイトのプログラムで確認 / Checked by this site’s program(6分割・12分割、重なるのは周期の頭だけ / 6 and 12 subdivisions, aligning only at the start of a cycle)
更新: 2026-10-18