ページが届くまでの歴史

最初のメッセージは「LO」だった。パケット、TCP/IP、DNS、ウェブ。URLを開くたびに働く仕組みが、どう生まれたかの話。

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ネットワークのしくみ

ブラウザにURLを入れて、ページが出るまで。たった数秒の間に、データは何重もの「封筒」に包まれて旅をします。その仕組みの一つひとつに、生まれた物語があります。 なお、このサイトの「ネットワークのしくみ」は、教育用の簡略化モデルです。実際の通信は、もっと複雑です。

旅のおさらい(このサイトの「ネットワークのしくみ」)

この作品は、https://example.com/ を開くまでを、24のステップで見せます。流れは、次のとおりです。

  1. DNSで、名前(example.com)から住所(IPアドレス)を調べる。
  2. TCPで「つないでいいですか」「いいですよ」「では始めます」と3回やりとりして、接続を作る。
  3. 暗号化(TLS)の準備をして、HTTPで「ページをください」と頼む。
  4. データを、暗号化、TCP、IP、Ethernetの順に、封筒に包んでいく。
  5. ルーターを通って、インターネットを渡り、サーバーで逆の順に封筒を開く。
  6. 返事が同じ道を戻り、ブラウザに表示される。

このサイトのプログラムで、TCPの接続(SYN、SYN-ACK、ACK)が暗号化されたHTTPより先に行われること、封筒が1枚ずつ増えて逆の順に外れること、そして中継のたびにEthernetのアドレスは変わるのに、IPアドレスとTCPの組み合わせは最後まで変わらないことを確かめました(network-journey/engine.test.ts)。

パケットの発明

大きなデータを小さな塊に分けて送る「パケット交換」は、1960年代に生まれました。アメリカのRAND研究所のポール・バランが、1960年代の初めに考え、1964年に報告書『On Distributed Communications』を出しました。 イギリスの国立物理研究所のドナルド・デービスも、1965年ごろ、独立に同じような考えにたどり着きました。「パケット」という言葉が広まったのは、デービスの言葉からです。バランは「メッセージブロック」と呼んでいました。

バランが軍事通信の生き残りを考えていたのは事実ですが、「インターネットは核戦争に耐えるために作られた」と言うのは、慎重にしたほうがよい話です。

最初のメッセージは「LO」

1969年10月29日の夜、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の学生プログラマー、チャーリー・クラインが、レナード・クラインロックの研究室から、スタンフォード研究所のコンピューターへ、ログインしようとして文字を送りました。 ところが、「L」と「O」の2文字を送ったところで、システムが落ちてしまいました。約1時間後に、ログインの全体が送れたそうです。 これは、インターネットの前身であるARPANETの、最初のコンピューター間のメッセージです。

TCP/IPと「階層」

ヴィント・サーフとボブ・カーンは、いくつものパケットの網をつなぐ通信規約を、1974年5月の論文で発表しました。これがTCPの原型です。のちにTCPとIPに分けられ、ARPANETは1983年にTCP/IPに切り替わりました。

通信は、仕事を分けて層に重ねて考えます。OSI参照モデルは7層、TCP/IPは4層(アプリケーション、トランスポート、インターネット、リンク)で説明されることが多いとされます。 このサイトの図は、HTTP、TLS、TCP、IP、Ethernetの5つの封筒で見せています。これは、OSIとも、TCP/IPの4層とも違う、このサイト独自の見せ方です。TLSをどの層に置くかも、教科書によって違います。「どれが正しい」ではなく、「見方がいくつかある」のです。

DNS:名前から住所へ

DNSは、ポール・モカペトリスが設計したとされています。1987年11月のRFC 1034で、いまの仕様の土台が示されました。 DNSができる前は、ネットワークにつながるコンピューターが、NICという機関の「HOSTS.TXT」という1つのファイルをとりに行っていました。コンピューターが増えると、そのやりとりの量が増えすぎて、うまくいかなくなりました。そこで、世界中に分けて持つDNSが作られた、と説明されています。 名前から番号を調べるしくみは、よく「電話帳」にたとえられます。

ウェブの誕生

ティム・バーナーズ=リーは、1989年3月にスイスのCERNで、ウェブの最初の提案を書きました。1990年11月には、ロバート・カイヨーと正式な提案を出し、1990年末までに、最初のブラウザとサーバーを作り、HTML、HTTP、URLの基本の考えを決めました。 1991年3月にCERNの中で使えるようになり、同年8月にニュースグループで公表されました。

ウェブとインターネットは別物です。ウェブは、インターネットの上で動く仕組みの一つです。

ちがいを見る

  • 旅の長さ:実際は、このサイトの24ステップよりずっと細かいやりとりがあります。暗号化のTLSも、ここでは1つのステップにまとめています。
  • ちょっとした歴史:ARPANETの最初のメッセージは「LO」、DNSの前は1つのファイルでした。

「ネットワークのしくみ」は、1歩ずつ進められます。封筒が増えて、あとで外れていくのを、順に見てみましょう。

出典・参考

更新: 2026-10-17